土木同窓会会長(昭和59年卒) 内海 博

 東北大学土木同窓会会員各位におかれましては,ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

ロシアのウクライナへの侵攻あるいはエネルギー価格の急騰など,これまでの予測範囲を超えるような事態や事件が発生しています。わが国の自然災害をみても,毎年のように「過去最大」という言葉が聞かれます。この8月には降雨により各地に被害をもたらしました。

地震や洪水などの自然災害とどう付き合うかは現代社会の大きな課題です。おそらく土木を学んだ皆さんは自然事象に対応する知見や感性が人一倍高いと思われますので,これまで以上の貢献が期待されるものと思います。自然のことはわからないことが多い訳ですが,だからこそ想像力を高め謙虚な姿勢をもって,自然の営みに向き合っていきたいものです。

学部4年の時,岩崎敏夫先生が講義中に語られた言葉を思い出します。「土木は将に将たる(人を最も必要とする)学問である。社会に出てそれなりの役割を持つはず。しっかりやって欲しい」と。初代土木学会会長古市公威が1915年の土木学会第1回総会で述べた言葉を引用し話されました。この時の心の震えや高揚感を今でも覚えています。先生が東北大を退官される年であり,淡々と話される言葉に重みを感じました。今振り返ると,土木で世の中に貢献していくための気概や心構えを教えていただいたように思います。

それから30年以上経過した3年ほど前,母校で講義する機会を得ました。学部3年生向けにエネルギー情勢や発電施設と土木の関わりについて話しをするというミッションです。わずか4回×90分の非常勤講師ですが,学外講師の意味を考え,将来を担う後輩たちに向け可能な範囲でカリキュラム以外の話もしたいと思いました。

受講登録した学生は約60名で,思いの外しっかり出席してくれるため教室はびっしりと埋まります。とは言え,一部遅刻してくる学生も居て,まだ空いている前方の席に着くことになるのですが,そうした学生に限って(たぶん),すぐに眠りにつくのです。しかも突っ伏した状態で。私は目の前のそんな状況に気づかないような素振りで講義を続けます。興味深いのは,頃合いをみて会社の話や就職の話をし始めると,突如,伏せた体を上げるのです。しかも眠そうな目ではありません。これ以外の多くの視線も強く感じます。私からは,ゼネコン,官庁,コンサル,電力など組織による役割や仕事の違い,企業で求められる人材など,乏しい経験ですがお伝えします。自分たちはどういう形で社会に貢献したいかを考えるきっかけとし,より良い選択をして欲しいと思ったためです。学生たちの受け止めはいろいろあったでしょうが,その後の就職や進路をどう見つめ,どのように歩んでいるかを時折思います。

同窓会は,「会員相互の連絡および親睦を図ること」(会則第3条)を目的としていますが,後輩への支援や母校への貢献は大事な使命だと考えます。同窓会はどうあるべきかを常に問い直し,何ができるかを考えることは大事なことだと思います。コロナで懇親会が開催しにくい状況ですが,こうした時期だからこそ,同窓会の在り方を考えることは余計意味があるかもしれません。会員各位のご意見も伺いながら,より良い同窓会運営を行っていきたいと思います。

最後になりますが,同窓会の皆様のますますのご活躍とご健勝をお祈り申し上げ,挨拶に代えさせていただきます。

(東北電力㈱執行役員水力部長 2022年10月31日)

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